ずっと昔からの味を守る。戦前から続く大森うどん

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名物のおばあちゃんは、天ぷらとお愛想担当だそうです。
親しみ深くニコニコとして、お話が楽しい方です。

うどんはモッチモチ!地元の人たちの元気の源です。
観光で訪れた方は、ジモティーが通う、まさにこういうお店を探しているのではないでしょうか。

 

テーブルが語りかけること

おばあちゃん
「創業35年。製麺所から行ったら80年じゃろうな。
大おばあさん、私、お嫁さん。
手打ちしていたの。んで製造をやめた。
息子がなくなったからね、お店一本にしたよ。
両方(製麺とお店)は平成15年まではやってたよ。」

ー 歴史がありますね。和気町の変遷はどんなだったでしょう?

お嫁さん
「和気町ね、今どう変わったかって。」

おばあちゃん
「昔は駅前商店街がにぎやかだったけど。
駅前開発を町がやったけど、向こう側(南側)ばっかり。
この通りもずっとお店があったけど、
ラーメンがあったり喫茶店があったりお好み焼き屋さん、
病院、とってもにぎやかだった。
25,6 年前に平病院移転してな、だんだん寂しくなったな。
この店がよく生きているなぁと思うわ。」

ー どんなお客さんが食べに来ますか?

お嫁さん
「たまに観光客、自転車。ほとんどは地元で働く人たち。」

おばあちゃん
「RSK(テレビ局)に出てから、(お客が)増えたな。アナウンサーして10年とか言いよってたがウチの方が勝ったな。ふふふ。」

ー セルフうどんが流行っているからこそ、温かいものを人の手で丁寧に運んできてもらえて、価値がありますね。

おばあちゃん
「そうじゃなー。セルフにしよう言う話もあったんじゃけど、ずっと手打ちできたからなぁ。
それが良かったんかもなぁ」

ー おばあちゃんは人気者と聞きます。

おばあちゃん
「うふふ。私は天ぷら係。耳が遠くなってよー」

ー 補聴器もつけてないし、しっかりお話できるし、全然そのようには感じません。
うどんのこだわりはなんでしょう。

おばあちゃん
「ウチはウチのこだわりがあるから」

お嫁さん
「だからそれを教えてって笑」

おばあちゃん
「ずっと昔からの味を守る。うどんは昔と変わっとらんなぁと昔から通ってくれとる人に言われるのが嬉しい。
嫁さんが守ってくれとるんな。
私は天ぷらとしゃべり担当よ。ふふふ。でもよう忘れるようになったからな。」

ー しゃんとされていて、そんなようには見えませんけどね。運転はまだされるんですか。

おばあちゃん
「うん。もう(免許を)返さないけんかなとは思うんじゃけどな、ちょっとあったほうがええからなぁ便利が。」

ー ところで、テーブルがすばらしいですね。

おばあちゃん
「これ、銀杏の木なんです。虹梁(こうりょう。建物の柱に使う梁の一種)の端きれを
使っているよ。やまもとさんという大工さんが全部せられた。(=した。)
(一段低くなっているフロアを指差して)ここまでだったらこの大きいの入らんが。(=入らないでしょう。)
増築して、入れたんよ。これ(テーブルを指して)真っ白い木だったんよ。それだけみなさんが触ったからね、この色になった。
私ら分からんが、ええみたいよ笑
木のことよぅけ(=よく)知っとる人からな、これ分けたら商売ができるよ、言われたよ。わはは。
どのテーブルも、釘は一本も使ってない。」

聞いてますます昔ながらの伝統を守っているまっすぐさと謙虚さと、でも頑固な魂みたいなものを感じました。
そういうストーリーが、このお店と町の空間を生み出すというか、時代をつくるというか。
すてきなお話です。

しょうがねぇもんな。だからふたりでがんばっとんよ。

ー お昼の利用状況はいかがでしょう。

お嫁さん
「すぐ閉まっちゃうこともあります。
限定はないけどその時の流れでね、営業時間内でも売り切れる時も良くあります。人数が3人なのでね。一人うどん伸ばすのに入っちゃうと、もうここが回らなくなるし。」
おばあちゃん
「売り切れそうになったら、早めにのれん入れるんよ。天ぷら一生懸命やってるとよ、えぇーもうのれん入れるんか、って。笑」

ー すごいですね。

おばあちゃん
「おばあちゃんが天ぷら揚げるの早すぎるからゆっくりして、言われるので、
この人(お嫁さん)にもう揚げてもいいでしょうか、おうかがいたててな笑」

ー 天ぷらいつもアツアツですものね。

おばあちゃん
「安いところ行こう思ったらなんぼでもあるもんな。でも、おかげさまで。
開店前に来ちゃう人もあるしな。
来るときはいっぺんに来るもんな。もう誰やらわからんけどよ、おばあちゃん元気ーとか言われてよ、うん、元気ーと返しておくんじゃ。わはは」

ー とても賑わっている感じで地元のお店、いいですねぇ。
和気はこれからどういう町になったらいいかな、と思いますか。

お嫁さん
「昔のようになったらいいかな、と思います。でも反対方向行ってしまってるからねぇ。この通りが賑やかになったらいいんだけど。」

ー この数年で移住者が増えてきたと聞きますが。

お嫁さん
「へぇ~来るのはほとんど常連さんだから、そんなに変わらないかなぁ。駅を挟んでこっち側はね、子どもいないんですよ。お店増えたらいいよなぁ。」

おばあちゃん
「ご近所さんでみやしたさん言うてね、ちょっとした小売されてたんだけどね、廃業した。私と同じ歳だから82じゃなぁ。もうやめられたん?と聞いたら辞めたんじゃないんです。卒業したんです、言われたよ。ふふふ。」

お嫁さん
「みやしたさんの息子さんはね、東京行っちゃいましたね。」

ー こちらは後継者は?

お嫁さん
「私の代で終わりです。一番継ぎそうなのは、IT関係で東京行っちゃった。一番継がなさそうなのがこっちにいますね笑 しかし商売には向かんなぁ。」

おばあちゃん
「20年経ったら、もう閉めようって嫁さんが言ってるよ。どうしようもねぇな。
継げ継げ言ったってよ、しょうがねぇもんな。だからふたりでがんばっとんよ。」

地域が抱える後継者問題。

どうか20年後も、ここのおうどんが食べられますように。

 店舗の詳細情報

基本情報

営業時間 11:00-15:00(売り切れ次第)
定休日 日曜
駐車場 10台
座席数 35席(座敷あり)
おすすめメニュー レディースセット/うどん定食/釜揚げ天ぷらうどん
電話 086-993-1616
住所 岡山県和気郡和気町尺所32

 お店までのルート

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