山の上に広がる別世界
cafe BBJは、店主と従業員一名でやっているお店です。
30席もあるのに!
コース制なゆえ、最後の飲み物までゲストに目を配らなければならないのに!
まずはじめに。
店主のお困りごとをお伝えすると、場所が場所だけに、「天候」なんだそうです。
なにせ山のどえらいところにあります。雪の降るような寒い日は路面が凍り客足も遠のくし、食材の調達も大変です。
予約なしで突然どっとにぎわう日もあって、てんてこまいの時も多いとか。
でも、なんというか、「ここに立地している」というプレミアム感がでているような気がします。
まさかこんな山奥に!? 道中、こっちであってるのかなぁと若干不安になった頃、突然ポツンとお店が出てきます。
そして、扉を開けるとそこはもう異空間。
地中海のテーマパークに来たかのような世界観が目の前にあるわけです。
店内は広々としていて、心地よい音楽、興味深い雑貨や本がたくさん置いてあります。
いっしょに来店する娘は、お野菜の外国の絵本がお気に入りです。
机と椅子が全て違うのですが、さりげなく全体の調和が取れており、どのテーブルについてもゆったりオシャレな視界で、飽きることがありません。
ワンランク上の女子になった気分を味わいます。
取材の日もマフラーぐるぐる、吐く息が白くなるような日でしたが、店内はストーブでぬくぬくです。
ここは、洋食のコース料理が楽しめるカフェレストランです。メインはオムライスやパスタなど。月替りで旬の食材を使ったメニューがうれしいですね。
私たち夫婦はこのお店のファンで、移住してきてから何度も来店していますが、そういえばいつ来ても、3つあるコースを全て注文しています。
なぜなら、おいしい、に尽きる。選べないから全部食べちゃう。
子どもがまだ小さいのもあり、2.5人で3人前を堪能します。
オードブル、メイン、そしてデザート。
この日のメインはオムライス、パスタ、ビーフシチューから選ぶことができました。
食事の出てくるタイミングが絶妙で、サービスをする方のこなれた気配りも感じられます。
いつも厨房でお料理にかかりっきりの店主、永野シェフに念願のお話を聞くことができました。
苦労と書いて、器用と読む?
こちらは20年前まで、宿泊施設だったそうです。
閉じた建物を買い取って、改装しました。
永野さんはお店を始めるまで、2年半ほど飲食業界で昼夜問わず忙しく働いていたけれど、
独立するための修行という意識ではいなかったそうです。
将来リタイヤしてからにでも、自分で店でもやりたいなぁと思っていたところ、うっかり始めてしまった。
うっかりやれるその器量がすさまじいですが、2012年のことでした。
華麗なフルコースです。さぞ有名シェフの元で、とか某名店で、などと出るかと思いきや、意外なエピソードでした。
「でも、だからこそ苦しい。自分には表に出せるものがないから、迷いながら。しょっちゅうよく分かんないなぁ、とかなりながらやってますよ。」
と苦笑しながら本音を教えていただきました。
どんなときにスランプになるのか尋ねたところ、たとえばパスタの茹でかたとのこと。
基礎の基礎!なるほどベースの部分、奥が深いのですね。
さらに、デザートは難しいそうです。なかなかバリエーションを増やせない。
前述のとおり、お客さんの入りの見込みが難しいので、仕込みに限界があることも要因のようです。
しかし、その絶え間ない苦労があるからなのでしょうか。いつも安定してとっても美味しいです。
店主はまた、ご自身でHPを作り運営されています。こちらも独学だそうです。
詳しいご友人から教えてもらったり、最近は忙しくてなかなか顔を出せませんが、町内や岡山市内で開催されるSNS勉強会にも行っているそうで、勤勉さがうかがえます。
FBもこまめに更新されていますが、これも日本でまだそこまで普及していなかった時期からやっていたそうです。ITリテラシー高し。
ブランディングばっちりな感じの名刺も、ロゴマークだけ友人に考えてもらって、あとはご自身で作っているとか。↓お店のHPです。
二児のパパでもあります。
仕込みのため朝早くからの通いは、さぞ大変なことでしょう。
レジ脇で販売しているジャムは、2008年からずっと作っているそうです。ファームはすぐ近くの畑。
他にも、地元の素材を合わせ、安心、安全を考えた原料こだわりの「かほちゃんのグラノーラ」や「生姜シロップ」などもお店の雰囲気を引き立たせます。
病院が近くにあるそうなんですが、そうなると看板を置くにも県や行政から規制が入り、なかなか目印を用意できないそうです。
くどいようですが、ラビリンスな山の中。ディナータイムなんかにBBJははじめてという友人を連れて行く日には、いったいどこに連行する気!?ときっと警戒されますね。
看板を立てるのはもういいやってあきらめてるそうです。私は、この名店は町内の人づてに知りました。
つまりこのお店、口コミで広がってるということですね。素晴らしいです。
ナビにうまく表示されない場合は、自然保護センターを頼りにお越しくださいね。
家具は奥さまが全て選定されたそうです。
食材は、できるだけ地消地産を心がけています。
「こんなところだからねぇ、持ってきてくれるところもないし。自分で買い付けに市場や産直店行きますよ。」
安定した営業を続けていく難しさや、より良い料理を求めて試行錯誤し続ける厳しさに苦悶しながらも、「ホンモノを追求する姿勢」の一貫性、永野さんからそんな気概を感じました。
町への想いに、実はアツイ人なのかもしれません
お店や和気にどんな思いがありますか、とうかがいました。
「来てくれた人が、本当に来て良かったって思ってくれたらうれしい。そうしたら、ここが目的地になって、町に来るきっかけになるので。」
今回の取材の経緯やwakegenicサイトの制作に対する思いをお伝えしたところ、
「町を本気でよくしていきたいっていう思いで動いてくれて、そういう人がいてくれて助かる。」
と評価していただきました。
町にお金が循環するような仕組みがあってほしい。
そうすることではじめて、町外の人たちを魅せることができると思う。
そのためには、まずは本当にそれが町のためになるのか、それが弊害になることはないか、住民ひとりひとりが町で起こっていることを注視し、ときには疑ってみることも必要なのでは、という深いお話をお聞きすることができました。
最後になりますが、HPにバッチリ予約フォームもあるので、ご来店の際は事前にぜひご活用くださいね。
基本情報
営業時間 | 11:00〜15:00 (夜はコースのみ、要予約) |
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定休日 | 金曜 |
駐車場 | 20台 |
座席数 | 30席 |
その他 | ・キッズルーム有り ・オムツ替えスペースあり |
電話 | 0869-92-4521 |
住所 | 岡山県 和気郡和気町小坂1281−2 |