農薬、除草剤、肥料未使用の彩り米(いろどりまい)エコファーム彩(さい)

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阿吽の呼吸で取り組むご夫婦の傑作、彩り米(いろどりまい)。
岡本ご夫妻は、いつ訪ねても四六時中一緒にせっせとお仕事をされています。
取材の日は、彩り米の稲刈り真っ最中でした。これぞ、実るほど頭を垂れる黒い稲穂かな。…黒?
そうなんです。光が当たると美しい漆黒が浮かび上がるのでした。

自然に寄り添い、自然と共生し、自然を提供する岡本ご夫妻に、この度マイク…の代わりにカマを片手にお話を聞いてきました!

お米も手仕事もポップに、そして誠実に

赤米、緑米、黒米、香り米…
活字からしてカラフルなお米たち。
これらの古代米ちゃんたちが、いくつかの田んぼに小ぎれいに区切られて整列しています。
この景色、なかなか珍しいです。収穫時期も違うでしょうし、さぞお手入れや作業工数が緻密なことでしょう。

エコファーム彩さんは、農作物や加工品を倉敷や岡山に定期的に出品しています。さらに活発に開催している町内のイベントではいつも出店側でお呼ばれし、工夫を凝らした軽食やスイーツを出してくれます。
一般参加者としてゆっくり過ごしたいときもあるでしょうに、いつも大忙しです。
この町だいすきー!な私はもれなく町内のお祭りに参加していますが、エコファームさんのお店を見かけない時の方が少ないかもしれません。

ちなみに私は、奥さまの美和さんが旬の時期につくってくれる桜餅が好きです。
もち米の絶妙なつき加減。優しい甘さ。思わず、「うまー!おかわり」
あと、夏限定のきりっと爽やかなミントジュースがやみつきですよ。

ここでのお仕事で大変なことは何か、ご主人である敬三さんに聞いてみました。
すると、やはり農家さん特有の、お天気問題でした。
「お天気に左右される。こればっかりはどうしようもない。害獣も多い。
自然農法をずっとやっているけれど、簡単に儲かる農法ではないしね。
畑もね、自然との対峙なので、色々やってもどうしてもうまく行かない野菜もあるよ。」

そう話す敬三さんの目はしかし、田畑を愛おしく見おろしているのでした。
今年はどうだったね、昨年はああだったね、と反省するのが実はまた、楽しみでもあるようです。

本当の豊かさとは

「こんなにおいしくて健康的な食べ物、もっと販路が増えたら世界がよろこぶのに」という私の軽率な問いかけに対し、
「顔の見えるやり取りがやっぱり安心だからね。」と。

「消費者が、生産者がどんな人か知りたいように、作り手も、買い手がどんな人か知りたい。
心をこめて仕事をしているけれど、大丈夫だったかな、美味しかったかな、とかそういう不安は常にあるので、リアクションが見えるのが、今後の励みやスキルアップになるよね。
もちろん新たなご縁は嬉しいけれど、大切に食べてくれるお客さんのリピーター層をのばしたいな。」

敬三さんの農とお客さんに対する想いが伝わってきました。

リピーターの中には、一度もお会いしたことはないものの長いお付き合いの遠方の方もいるそうです。
懇切丁寧なやり取りが想像できます。

「間口を広げても生産量、間に合わないしね。」
と、カラッと笑う敬三さん。

儲かってないけど、ライフスタイルとしては成功してる。食うのに困らない程度。それでいい。
そんなことをさらりと口にできる農家さんは、まさに価値観変遷の先にいる方だなぁと感じます。

「儲けようと思うと、無理が出てくる。機械も組織も必要になってくるし。
そうすると、何がしたいのか分からなくなったりすることもあるだろうし、とにかくつくることに集中できなくなる。
機械でやると速いけど、やっぱり、ね。」

後ろを振り返ると、町内外から集まったお若い助っ人さんたちがワイワイキャッキャと楽しそうに、稲の刈り取りを進めています。

敬三さんの生い立ちを聞いてみました。
もともと長崎で、子どもの時は当たり前に自然があり、自然こそが暮らしであり、遊び相手であったそう。
田畑の作業も馴染みのあるものだったようです。
社会人になり、全国勤務の公務員をされながら自分で作物も作りたかったので、その地その地で農園を借りながら仕事と趣味を両立させてきました。
全国津々浦々に、野良仕事の経験を持つ敬三さん。
それこそ東と西、北と南では育つものも、育て方も多種多様なことでしょう。
余談ですが、もしかしたら、敬三さんは全国農作業経験者として、かなりの上位に当たるのではないか!?とよぎりました。「ここの地域ではね〜土壌にはこんな特性があってね」みたいな農地ソムリエとかあったら、両手を挙げて推薦します。

さて、ご夫婦は、美和さんの故郷でもある京都で出会ったそうです。
お子さん2人に恵まれ、家族が増えてからも、熊本や岡山や金沢や…とにかくあちこち転勤で忙しいのでした。

子育てにおいて、特に思い出深いのが、金沢だそうです。金沢も品があり魅力的な町だと敬三さんはおっしゃいます。そんなに都会じゃないし田舎じゃないし。
そんなわけで移住地として、金沢も候補だったそうです。でも、岡山勤務が一番長かったし。ラグビーのクラブチーム(後述)も仲間も、たくさんいたので、何かあったら、助け合えるし、ということで和気に決めたんだとか。
やっぱり決め手は人なのですね。

農業に、正解はない

敬三さんは、現在も岡山のラグビーチームに入っているそうです!
40歳以上のシニアチームがあるとか。
ラグビー解説につい熱が入ってしまいますが、年代によってパンツの色が違うのです!
60になったら赤パン。70が黄色。80が紫…ええっ80歳でラグビー!
岡山の年配者の方々は、一様にして、本当に元気で頭が下がります。おじいちゃんがトライを決めるシーンは
身内がハラハラしてしまいそうですが、ここは元気印の岡山。さぞエネルギッシュなゲームになるのでしょうね。

月一回、試合があるそうで、徳島に遠征に行ったりするそうです。
定住してもなお、全国あちこちを駆け回るのですね〜。

奥さまはというと、ダンスが好き。和気で発足したチームで熱心にレッスンをされていました。
肉体労働でたまにはゴロゴロしたくなりそうなものですが、オフの日も激しく動くとは、根っからのアクティブ夫婦。
背中丸めてスマホいじってばっかりいないで、見習いたいものですね。

畑にもご一緒させていただきました。

「今年は大豆がダメだったなー その代わり小豆が豊作だね。
これ、バターナッツバターかぼちゃ。イノシシがかじってるよ。どうせなら全部きれいに食べてよねー(笑)」

他にも、都内では聞きなれないお野菜、ダビデという種のオクラをはじめ、紫ささげなど、ツルを見せてくれながら栄養価の高いお野菜について語ってくださいました。(収穫の時期ではなかったのでこの日は撮影できませんでしたが、夏が楽しみです。)

畑も大切な収入源なのですが、なんとトラクターなし。というか、機械類ほぼなし。でも、できるんだそうですよ!基本的に天地返し(耕地の表層と深層を入れ替える)もしないそうです。
里芋はこうしたらよく身が肥えるんだよとか、畑の水はけがいかに大切かとか、エコファームさんならではの様々な工夫について丁寧に語ってくださいました。
畑は、自然の姿に近い形で、でも手をかけ整理整頓されている印象も受け、小豆は生き生きと輝いて見えました。
あちこちの畑に取材に行ったり、私自身もライフワークを目指して取り組んでいたりしますが、畑って、作り手の性格がものすごく表れるなぁと感じます。
世間は、やれ有機だとか無農薬だとか、うごめく情報に踊らされがちのように思えます。しかし岡本ご夫妻の姿勢といえば、移ろいやすい流行や解釈にも動じずに、自然農法で自然の声に耳を傾ける。自分たちの信念を貫いて目の前の仕事をコツコツと。そんな風にお見受けします。

さらに、エコファームさんの素敵なところは、人のつながりを大切にしているということ。
やりたいことはたくさんで、分かっちゃいるけど手が回らない。
そんな状況は他の農家さんも、同じです。だからこそ、ご近所であそこの木が邪魔で危ないなーという声を聞けば、敬三さんはチェーンソー持って切り倒しに駆けつけるし、イベントで人手が足りなければ夫婦でヘルプにいくこともあります。
さらに、町内にある公共施設では一般家庭向けに麹からつくるお味噌づくりを毎年やっていますが、そこでも美和さんは頼もしいリーダー的存在なんです。

敬三さん;
「農業は、「こうでなきゃいけない」はないんだよね。正解はないというか。
ライフスタイルってさ、こういうやり方じゃなくっちゃ、とかガチガチに考えるんじゃなくてさ。
これから農をやろうと思っている人たちも、自分なりに自由にやってみたらいいよ。」

なにせお二人だけでコツコツと色んなことをやっているので、まぁお仕事はバラエティ。
そんなわけで農作業のボランティアさんを募集しています。
お手製のお昼ご飯と、採れたてお野菜のお土産付きですよ。
特に、就農を考えている、もしくは始めたばかりよ、という方!
もしくはこのワークライフバランスでいいのかなーと自分の暮らしに漠然と不安がある方!
ぜひお手伝いしてみてはいかがでしょう。
岡本ご夫妻のマインドから学べることは、たくさんあります。

楽しい仲間と一緒に口を動かしながら、汗をかくのは気持ちが良いものです。
澄んだ空気はおいしく、吹き抜ける風は心地よく。
どこまでも空が続く美しい田園の海の中での労働は、体にいいことしかないでしょう。

エコファームさんはfbでも日々のお仕事や暮らしぶりを元気にコマメに、発信中です!
写真がアップされるたびに、いいねボタンでお腹も鳴りますね。
お二人の心のこもった丁寧で繊細な品物の数々、ぜひ手にとってみてほしいです。
視覚も味覚も、きっとハートになりますよ。

基本情報

事業所名 エコファーム彩
売れ筋 彩り米(玄米)
バジルソース
桜餅(桜の葉っぱの塩漬けから自家製。)
彩の酢(純米酢)
電話 090-7543-6656

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